熟成魚作りに革命!?「津本式血抜き」とは | SUSHI TIMES

熟成魚作りに革命!?「津本式血抜き」とは

今、料理人の間で話題になっている「津本式血抜き」。ある水産会社の営業部長が研究を積み重ね、独自に開発した締め方です。完全に血を抜くので臭みはなく、長期間魚を熟成でき、魚本来がもつ旨味を最大限引き出すことができます。魚を長時間の熟成に耐えられるようにする究極の血抜きだと言われています。

「津本式 究極の血抜き」とは

「血抜き」は一般的に、魚の鮮度を保つための処理方法として知られていますが、「津本式血抜き」はちょっと違います。

宮崎県の水産会社に勤務する津本光弘さんが、美味しい魚を熟成させることにより魚の持つ旨味を最大限に引き出すために独自に開発。「新鮮な魚=美味しい魚」という常識を破り、限りある水産資源を無駄しない文化を定着させる、魚の革命を起こすために研究してたどり着いたと言います。

注目される理由

通常の血抜きはエラを切るだけですが、津本式の血抜きはエラを切ったあと、神経締めに加えて、大動脈に水圧をかけ体内の血をすべて抜きます。さらに、時間を置かずに神経じめを施します。

抜きに使われるノズルは津本氏が開発したもの

尻尾の方にある動脈から水を流し全身の血を抜くのです。この「血抜き」を津本式では徹底して行います。

全身の血を抜くという工程は津本式ならではです。血が抜けているので臭みがありません。

すごいのは、ここから。

血と内臓を抜いた魚は真空状態にして保存されます。すると、数日間熟成させることが可能になるのです。津本式血抜きを施された魚は鮮度抜群の当日よりも4,5日経過した頃が最も美味しいのです。現在では津本さんの技術に憧れた料理人たちが全国から集まり海外からの発注も後を絶ちません。

「津本式血抜き」の手順

では、具体的手順をご紹介します。

血抜きの手順

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1.脳締め(脳死)
2.エラを切って放血
3.神経締め(神経抜き)
4.究極の血抜き

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1.脳締め(脳死)
エラから目に向かう延長線上に魚の脳があるので、そこをアイスピックで潰して脳締め(脳死)させる。
目と目の間の上部にある眉間からするのは、魚が暴れることがあるので危険です。安全なのは魚のエラを足で潰さないように抑えて、側面からコメカミを潰す方法です。その方がすぐに締められて魚も苦しまない(はず)で、脳締めする理由は釣った魚をすぐに締めて熟成させると美味しくなる理由にまとめている通り、旨味成分のIMP(イノシン酸)を生成するエネルギーとなるATP(アデノシン三リン酸)を保ったまま瞬殺するためです。

2.エラを切って放血
エラの白い部分を両サイド切り、魚の顎とエラを切り離した状態で海中(水中に入れて)に1分ぐらい振り続ける。エラの赤みが引いて白くなってきたらOKのサイン。これで70%~80%は血が抜けます。見た目上の問題で尻尾を切っても良いなら尻尾も切断しエラを切り離します。

3.神経締め(神経抜き)
尻尾の切断面を開いて、背骨の上にある白い穴にワイヤーを通して締める。脳締め(脳死)のみの場合、処置後に約15分くらいするとほとんどの魚は痙攣を始め、完全に抜けきってない血が体内を巡り、死後硬直を早めてしまいます。

4.究極の血抜き
まず尻尾からノズルを入れて血を抜き、ホースで行う究極の血抜き時にうっ血状態にならないようにします。究極の血抜きはホースで水圧をかけてエラから水を入れて、魚体がパンパンに膨らみ、尾の切断面から出る水が透明になれば大丈夫です。ノズルで抜ける血は中骨の動脈の血までで全ての血は抜けません。究極の血抜きはエラにホースを当てて、水圧をかけて全身の血管に水を流し血を送り出すことです。魚体から全て血を抜くためには、エラにホースを当てて圧力を掛けて行う「究極の血抜き」をする必要があります。このやり方で「究極の血抜き」を行って、最低3日は寝かせてください。骨の中の血まで抜く方法はこれ以外にないとは思います。

5.魚の内臓処理
「究極の血抜き」をして血を抜いた魚から内臓を取り除いて究極の熟成保存できる状態にします。まずはエラを取り外して、次に魚の肛門部分から切り込みを入れます。この時の切る幅は、腐敗を防ぐために「内臓を切り離して、血合い部分の掃除が出来る幅」だけの最小限にすることで、切断面からの腐敗を防ぐことができます。腸の一番外側を指で切って、エラの部分から内臓を全て取り出します。

取り出した内臓の腸に脂が帯びていたら相当美味しい魚です。旨い魚は内臓を見ればだいたい分かります。
内臓を出したら、血合いをこそぎとりきれいにします。血合いの掃除は、専用の道具でも、斜めにカットしたホースでも構いません。

熟成手順

究極の熟成は以下の2手順です。
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1.熟成保存用処理
2.究極の熟成保存

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1.熟成保存用処理
「究極の血抜き」が終わった魚の水分をペーパーで拭き取り、内臓部分にキッチンペーパーを詰め込みます。※究極の熟成中に雑菌の繁殖を防ぐために、この時しっかり魚の水分を拭き取ります。そしてキッチンペーパーで魚を巻いて、更に新聞紙などでくるみます。(これは魚のヒレが熟成用の袋を突き破らないようにするためです)その状態でポリ袋に入れて、ホースなどで袋の空気を抜いて「弱真空状態」にします。真空にする機械がある方は真空パックしても大丈夫です。真空状態を作るのは熟成している魚の身の酸化を防ぐと同時に、空気中の雑菌を除去する役割があります。

2.究極の熟成保存
発泡スチロールに水を張って、弱真空状態にした魚を入れた後に氷を入れて、タオルなどで蓋をします。氷水に浮かべるのは、寝かせて置いた場合、熟成中に魚の身が自分の自重により押しつぶされることを防いでくれます。1度の氷水の中で熟成させるのでは、氷水の中に入れる方が魚の身が全体的に冷えるので酵素や細菌の活動を抑え腐敗を防ぐ役割もあります。海水(塩水)を使うことで氷水の温度を0度に下げることが可能です。この処理をする事によって1週間以上寝かせて、魚本来の旨味を出していきます。

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新鮮な魚よりも旨い魚を生み出す・・
彗星の如く現れた「津本式」の技法。
世界中の料理人が注目する職人技から目が離せません。

出典:津本式公式サイト / youtube / お魚ジャパン / プロペルでGO!!