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牡蠣の【旬】っていつ?真牡蠣と岩牡蠣の違い

和の食材としては見逃すことのできない、牡蠣。
牡蠣は一年中見かけますが、旬はいつなのでしょうか。

主な牡蠣の種類とその違い

牡蠣は、大きく分けて真牡蛎(マガキ)、岩牡蛎(イワガキ)、地牡蛎(ジガキ=)3つに分類できます。

真牡蠣

旨味が凝縮されクリーミーな味わいが特徴です。また真牡蠣は「養殖もの」がほとんどで1年から3年かけて育ちます。太平洋側で多く養殖されています。大きさは岩牡蠣と比べると小ぶりです。

岩牡蠣

味が濃くミルキーで、少し苦みや渋みが感じられます。大きいものだと1個で1㎏を超えるものもあり、マガキに比べ大きいのが特徴です。殻はマガキよりも厚みがあり、薄い板が幾重にも重なったパイのような感じになっています。中の身は殻の大きさと比例しているとは限らずまちまちです。

地牡蠣

その地元特有の牡蛎=ヨーロッパヒラガキ、イタボガキ、ヒラガキ、スミノエガキ等。

牡蠣の「旬」とは

基本的に「牡蠣の旬」は「太ったクリーミーな牡蠣=旬」とした場合、以下の時期とされています。

真牡蠣(マガキ)=秋冬=11月~4月
岩牡蠣(イワガキ)=春夏=7月~9月。

では旬は何で決まるのか。 それはズバリ『産卵期』です。
牡蠣は「産卵のために栄養を蓄える」⇔「産卵のために栄養を使い切る」を繰り返すからです。

牡蠣の産卵の様子。水面に白い帯が広がり、牡蠣から卵が勢いよく噴出しています。

真牡蠣(マガキ)の旬

9月頃までに産卵を終えた真牡蠣は、海水温があがり始める次の産卵期=5月頃に向けてまた栄養を蓄えていきます。
9月の終わりから5月まで、栄養を蓄え続ける=太り続けるわけです。 なので、そのピークとなる2月~3月頃が、旬の中でもピークといえます。
4月に入ると徐々に海水温があがり、精子や卵を持ち始め、気持ちが悪いという理由でだんだんと出荷されなくなります。

とにかく太ったミルキーな牡蠣が好き!というのであれば、産卵ギリギリの5月末くらいまでの岩牡蠣がおすすめです。
ただし殻を開けてみたら、卵を持っていたり、産卵後で痩せてしまっていることも増えていきます。

まとめると、 真牡蠣(マガキ)の旬は1月~3月。 それ以外の時期は、卵を持っていたり、産卵で身が痩せてしまって、日本人の好きな「太っていてクリーミー」ではない味となります。

尚、3倍体という産卵しない品種もあり、栄養がある場所であればひたすら大きくなり太り続けるという品種もあります。

欧米では、基本的にそこまで太った牡蠣へのニーズが高くないこと、あとは、この3倍体と通常の2倍体を両方生産することで、同じクオリティの牡蠣の通年提供を実現している生産者もいます。日本でも広島をはじめ一部産地で導入されています。

岩牡蠣(イワガキ)の旬

産卵時期は同じく海水温が高くなる6月~10月なのですが、真牡蠣のように大量に一気に産卵して痩せ細ってしまうわけではないのがポイント。

もともと産卵量が少ない上に、何回かに分けて少しづつ産卵するため、身は痩せずに産卵に向けたっぷりと栄養を蓄えた状態が続きます。 なので、岩牡蠣の旬は産卵期である7月~9月=一番太っていてクリーミーな時期ということになるわけです。

ちなみに、冬場も岩牡蠣は食べられますが、皆さんがイメージしているクリーミーな岩牡蠣とは違うことを覚えておきましょう。あとは海が寒くて海士さんが潜れない(禁漁期)こともあり、あまり市場には出回りません。

以上の理由から、産卵期をコントロールできれば1年中美味しい牡蠣が食べられるわけです。実際に海水温が低い地域(北海道の厚岸等が有名)などでは、牡蠣がほとんど産卵しないため、1年を通して食べられる牡蠣がつくれます。

諺でもあるとおり『Rのつかない月は牡蠣食うな』と言いますが、正しくは『産卵のために身が痩せている時期は、水っぽくて美味しくないから食うな』というだけなのです。

Rがどうこうという諺自体がもう200年以上も前に、しかも岩牡蠣のいないフランスで生まれたものですので、今ではあてはまらなくなっています。

出典:KAKIPEDIA
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