江戸前のネタは今が旬!鮨ネタランキング7月編 -SUSHI TIMES ORIGINALS-
夏は江戸前の寿司種が旬を迎えます。職人の仕事が光る江戸前ならではの魚を味わう時こそ、鮨の醍醐味と言えるかもしれませんね。夏の寿司ネタの中には新子などの旬が非常に短いものも。今しか味わえない、江戸前の旬を感じにお鮨屋さんへ急げー!
新子
職人の腕前が試される、仕事難易度の高い魚

光り物の中で最高級とされる新子は、ニシン科の魚であるコノシロの稚魚のことです。人気ネタのコハダも新子同様に成長するとコノシロになりますが、新子の場合は体長4~10cm弱と、より小さいものだけを指します。
希少性の高い旬の“走り”を楽しむためのネタ
口に入れるとはらりとほどけ、あっさりした中に光りものならではの香りがふわりと広がる。そんな儚さの中にひめられた味わいが新子の魅力。新子の体長は4~6cmほどで、捌くとたったの3cmほどになります。そのため鮨一貫に対して何枚もの新子を使います。6枚付けなど、枚数が多いほど、魚体の小さい“走り”の新子を贅沢に使っているということが分かり、粋を感じさせてくれるのです。とても小さく調理が難しいことから、熟練した鮨職人の技が必要です。また繊細な魚がゆえに塩や酢の加減もむずかしいのが特徴です。まだ生まれて間もない魚ゆえ、柔らかく味もほのか。仕込みのよしあしがはっきりと出てしまうため、とにかく職人の腕前が試されるネタです。
鮑(アワビ)

鮑の種類はとても豊富で、世界中で約100種類・日本国内では約10種類あるといわれています。関東以南で獲れるクロアワビやメガイアワビなどは秋から冬にかけて産卵期となり、美味しい旬の時期は夏となります。
鮑には「クロ」と「マダカ」がある
「クロ」「雄貝(おんがい)」「オス」などと呼ばれる黒鮑。それに対して魚河岸では「びわ貝」とも呼ばれるマダカ鮑は、貝の表面が琵琶の実のような黄色っぽい色をしている。豊洲市場にある貝専門の仲卸「丸佳」の山岸佳弘さんもマダカ鮑は鮑の中でも別格だと断言する。
「マダカは黒鮑よりも深い海の岩礁に生息していて、海女泣かせの貝と言われています。殻の形も黒鮑に比べると丸みを帯びているので目が慣れてくると見分けがつくようになりますよ。とにかく漁獲量が少ないので、幻の鮑とも呼ばれています」(出典:dancyu)

江戸前鮨では「煮鮑」が正統
鮑の仕込み方は地域によっても異なります。江戸前の正統は煮鮑で、煮汁は水と日本酒です。これを火にかけて、ゆっくりと1時間30分ほど煮ます。煮上がった鮑は鍋ごと冷まして落ち着かせ、その過程で煮汁に溶け出した鮑の旨味をゆっくりと煮含ませるのです。
穴子(アナゴ)

「脂の乗らない」時期が旬!?
穴子の旬は、夏である6~8月と言われています。この時期の穴子は、「梅雨穴子」「夏穴子」と呼ばれ、脂が少なく淡泊なさっぱりとした味わいが特徴です。
一般的に、魚の旬は、脂の一番乗っている時期を旬とすることが多いのですが、穴子は、淡泊な味わいが好まれる魚なので、脂の乗らない夏が旬とされている珍しい魚です。
「梅雨穴子」と呼ばれる6月に獲れる穴子は、梅雨の増水で流れてきた、豊富な栄養分を含んだエサを食べているので、旬の中でも特においしいと言われています。

江戸前鮨において穴子は代表格とも言えるネタです。鰻のような脂っこさがなく、やわらかな身、甘辛いツメの味も相まって、幼い子どもから年配層まで、広く愛されています。「仕事」をするにあたって穴子はスピード勝負の魚。とにかく鮮度のいいものを仕入れ、酒、醤油、味醂、砂糖を合わせた煮汁で20分ほど煮たものを握ります。頭を落とし、骨や内臓を取り除いた穴子は、強火でふっくらと煮る。調味料は酒、味醂、砂糖、醤油といたってシンプルです。
鯵(アジ)
年中獲れる魚ですが、春から夏にかけてたくさん獲れるので一般的には4月~7月が旬です。日本で一番多く獲れるのは長崎県です(諸説あり)。6月~8月に旬を迎えるのは回遊アジではなく、瀬付きアジ(海底の岩礁を「瀬」と呼び、その「瀬」に居着くアジのこと)です。

江戸前の知恵が結集した「酢〆ネタ」の代表格
鯵は江戸前鮨でも定番の種として親しまれてきましたが、鮮度が落ちるのが早いため保存には一苦労するネタでした。そこで鮨職人によって考案されたのが、「酢〆」の技術です。塩を振り、酢に漬けることで、魚の腐敗臭を取り除き、保存を効かせる技法は、江戸前鮨の古典的な仕事として広まったのです。
鱸(スズキ)

江戸時代以来の高級魚は縁起の良い出世魚
真鯛と並ぶ白身魚の代表格で弾力感のある食感。秋から初春が産卵期で、その後梅雨入りからが旬です。秋から初冬にかけて産卵のために海からやって来る子持ち腹太スズキは、脂が乗っていて美味しいという説と、生臭いという説ありますので、間違いのない旬は初夏のようです。出世魚で、縁起がよく、江戸時代以来の高級魚のひとつとされます。

脂が徐々にのりはじめた春の握りが美味しい。甘みがあるのは脂がのっているためだろう。とろっととろけるようになり、ふんわりと甘味が浮き上がってくる。うま味も、身の硬さもほどよく言うこと無しのうまさです。
マダコ

地域によって旬の時期が変わる江戸前の花形
瀬戸内海周辺では産卵期に入る6~9月頃のものを「麦わらだこ」と呼び旬とされています。一方、三陸では11~12月が漁期となり初冬が旬となります。

初夏が旬のマダコを4~5時間も煮て仕上げるタコの桜煮は、まさに江戸前鮨の花形と言える存在です。煮たタコにはその店の個性が光る「ツメ」が欠かせません。噛みしめるとシャリとわさび、たこの旨味と濃厚なツメがあいまって、いつまでも口の中で咀嚼していたくなるのです。
馬糞海胆(バフンウニ)

主に日本海に生息するバフンウニ。ほかのウニと比べ小ぶりながら、赤ウニとも呼ばれる濃いオレンジ色の身は甘味は強く、香り豊かです。漁解禁の6月から8月が旬となります。
元祖江戸前のネタではないが、根強い人気

老舗系の江戸前のすし店では、頑なにウニを使わないところもありますが、今や多くのすし店で使われています。
通常のウニと違い、とても濃厚で甘みがありますが、塩をアクセントにすることでよりウニの味が引き立ちます。
編集:SUSHITIMES
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