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その季節にいただきたい旬の鮨ダネ「春の魚介を知る」

旬の鮨ダネを知れば、季節の訪れを感じたり、その時期ならではの味に出合えたり、鮨をいただく時間がより豊かになります。主な鮨ダネの旬をご紹介しますが、獲れる場所で旬も変わり、世界中から旬ネタを仕入れる店も。あくまでガイドラインと心得て、季節の美味を楽しみましょう。

鯛(タイ)

たいの名がつく魚はたくさんありますが、たいといえば「真鯛(まだい)」を指すのが一般的です。立派な背ビレと硬いウロコを持つ赤い魚体は、古くから日本人になじみ深い魚の王様。「めでたい」にかけた尾頭付きは、祝い事やハレの席に欠かせません。

市場に流通するたいは、一年中出回る養殖物がほとんど。日本全国の沿岸に分布する天然物の旬は、地域によって2~6月と異なるものの、桜が咲く季節の「桜鯛」が特に珍重されます。

出典:macaroni

初鰹(ハツガツオ)

初鰹は、食卓に季節感を醸しだす美味な逸品です。江戸時代に「目に青葉 山ほととぎす 初がつお」と詠まれました。新緑の5月になると伊豆・鎌倉沖で捕れ始め、初物を好んだ江戸っ子が争って買い求めたと言われます。
鰹は南の暖海にすむ魚ですが、回遊性で春になると暖流(黒潮)にのって太平洋岸を北上し、関東近海に現れます。これを「のぼり鰹」と言います。
また9月下旬から10月頃に水温が低下して南下するときは、「戻り鰹」と呼ばれ、こちらも脂がのって美味です。新鮮な鰹は刺し身が一番ですが、タタキや煮つけ、酒盗(※)にしても美味しく、またのぼり鰹の多くは鰹節にされています。タタキの作り方は、鰹を3枚におろし、火でいぶし焼きにして、氷水で冷し、たっぷりの薬味と酢醤油をかけて食します。是非旬の食感をお楽しみください。

※酒盗・・・鰹の塩辛のこと。酒の肴にすると、酒を盗んででも再度食べたくなるほど美味という意味。

出典:東京都中央卸売市場

鰆(サワラ)

成魚になると1mを超えるものもあり、北海道南岸から全国各地で獲れるポピュラーな魚です。特に瀬戸内海沿岸では、産卵のため沿岸に近づく春から初夏にかけてが旬とされます。「鰆」の名のとおり、関西では春告魚として有名です。魚偏に春と書くことから、代表的な春の魚のように思われているサワラですが、その旬は土地によって異なります。瀬戸内海では、外海から産卵にやってくる春に旬を迎えますが、関東地方では秋以降、とりわけ12月を過ぎたものを寒サワラと呼んでいます。和歌山では、桜の盛りの時期に獲れるサワラを「桜サワラ」と呼びます。春サワラは西日本で、寒サワラは東日本で好まれています。西日本では産卵期のサワラを獲って食べていたことから、真子や白子と共に食べる文化があります。それに対して、東日本では産卵期前の脂が乗った白身の味を楽しみます。瀬戸内海・関西地方でよく食べられてきた魚のひとつで、特に岡山県では非常に珍重されています。

出典:八面六臂

春子(カスゴ)

 

春子は魚の名称ではなく、見ての通り『チダイ』です。タイ科のマダイ、チダイ、キダイの幼魚の総称をカスゴと呼びます。淡いピンク色が桜の花びらを連想させる可愛い魚です。丸づけ(1匹で1貫)用に捌いたり、半身で1貫になるように春子を三枚に下ろした春子を酢と塩で締め、寿司屋ではネタとして使われることが多いです。

出典:横浜魚丸株式会社

細魚(サヨリ)

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サヨリは外見はとても綺麗な魚ですが、腹を割って中のワタを出した後も腹の中には真っ黒い薄膜があります。その様子から「外見と違い、実は腹黒いやつ」という例えに使われたりします。サヨリは通年何処かしこで漁獲され市場に出回ります。漁期は春期、秋期、通年と産地によって色々です。産卵期が春の終わりから夏にかけてで、晩秋には春に生まれたものがエンピツサイズに成長し、釣りの対象となり始めます。旬は冬から春にかけてで、各地の漁期が重なり市場に沢山出回ります。初夏から夏は産卵を経た後で身質が落ちるとともに、二年魚が産卵後死んで成体の数が減ると考えられています。

出典:フーズリンク