銀座でとあるお鮨屋さんがリニューアルしたメニューをお披露目されるというという事で、
試食会にご招待いただいたのでお邪魔してきました。
事前情報では「本格江戸前鮨のお任せコースが9000円から」なんだとか。
銀座で9000円…しかも熟成魚も頂けると…?
そんなバカな!ひとまず期待値調整をしつつお店へ。
(後でこの価格と内容のギャップに度肝を抜かれる事になります)
まず驚くのが立地。東銀座駅の出口目の前なんですね・・
エンターテイメント感溢れる鮨を気軽に楽しめる鮨店として話題を集めているんです。
お店の雰囲気はとてもスタイリッシュ。
ザ・鮨屋というよりはフュージョン鮨店ぽい印象。
元イタリアンのお店を改装されたようです。納得。
デートとかに最高なんだろうな、と思ったら…
先日放送の「テラスハウス」のロケで使われていましたとか。
えみかと凌が行った寿司が美味しそう!場所やメニューをご紹介!【テラスハウス東京】
さて、雅コースはどんな内容なのでしょうか。
握り14種につまみ9種の怒涛の計23品!

は!?こんなに出てくるの!? 開いた口が塞がらぬうちにお食事はどんどん提供されます。
貝だし

あさりとしじみの旨味がギュッと詰まった出汁。貝の塩味だけで上品に味付けされています。「これは・・!」興奮を抑えていた胸がどんどん高鳴り始めます。
生いくら巻き

なるほど、いくらから出てきちゃうのね!初っ端からその辺の鮨店との差を感じちゃいます。いくらはちょうど良い漬かり具合。海苔が風味豊かでパリパリ。
さわらの焼霜造り

ブオーっという定番のバーナーの音にカウンターのお客さんが一気にカメラを向けます。大将の軽快なトークが笑いを誘います。和み始めた客席に出てきたのがこのお造り。威勢の良い大将のイメージとは対照的な繊細なお仕事に様々な想いが良い意味で裏切られ始めます。
いかと外子(香箱蟹の外子の塩辛)

このアオリイカの歯ごたえと甘みが脳を一気に鮨モードに変換させます。一度冷凍させることによって細胞が壊れ甘みがでるそうです。
九条ネギの浸し

シンプルですが程よい苦味と旨味のねぎ。暴走しかけた舌を収めるのにちょうど良い品でした。
さて、本コースの目玉「究極血抜きの熟成魚」3種がお目見えです!!
シマアジ(9日熟成)

津本式究極の血抜きを施されたシマアジを9日寝かせてます。ネットリしつつもあっさりした味になっています。上品な旨味を味わい、舌も心も高まります。
津本式究極の血抜きはSUSHITIMESのこちらの記事でも紹介しています。
ツムブリ(10日熟成)

熟成魚ツムブリ。ブリと名が付いてますが
ブリの仲間ではなくアジ科の魚です。
九州でしか獲れない非常に貴重な魚で、
この10日前にたまたま入っていおり熟成されていたとのこと。
ブリとマグロの中間のような味わい。
脂はあっさりとしており、クセがないのにいくらでも頂けそうな一貫。
夏や春の小振りのものは淡泊で味がないのですが、秋から冬には脂がのって非常に美味しいのだそうです。
「旬のツムブリは魚類中トップクラスの味で、関東での評価の低さが信じられない」と九州の方が言われていました。
このような素材を持ってくるところもまた、お上手です。
カワハギ(4日熟成)

中でも印象的だったのがカワハギ。カワハギは肝以外を4日熟成させ、ネタの下には新鮮な肝がふんだんに忍ばせてあります。
ネットリと熟成された身とフレッシュな肝の調和がかつてない感動を生みます。時差を利用した技にうなさられる一品でした。
「鮨やまけん」のネタの仕入先は3ヶ所。うち2ヶ所は津本氏と津本氏の息のかかった熊本の仲卸という事です。料理長の東さんは津本式の認定講師で、熱心に熟成魚の研究をしてきている方。ネタの見分け方も程よい熟成具合も完璧なわけです。究極の血抜きを施された超新鮮な素材は、それぞれの特性によって熟成の時間を変えていきます。
一品一品にものすごい手間と時間がかかっております…!!
箸休めに、ピーマンの塩昆布和え
煮アワビ(肝ソース)

鮑の柔らかいこと…日本酒が欲しい。出されてすぐ「ソースは残しといてね!ね!ね!」と板前さんに念押しされます。
しばしのオアズケ感…そして。
肝リゾット

ソースの中にシャリを入れてくれます。なるほど、リゾット!濃厚な肝ソースとさっぱりしたシャリがまた合います。いやあ、飽きさせないよなあ…
燻握りイサキ(20日熟成)

突如運ばれて来たアラジンの魔法のランプのような物体…

しばし待て、と言われゆっくり開けると…モクモクモクモク!!! 燻煙を纏ったイサキが登場!!!!香ばしい煙の香りで五感が満たされます。あっさりしたイサキの身に燻煙のツンとした刺激がたまりません。
香箱蟹

香箱蟹。華やかで思わず歓声が出てしまう握りです。ここまでの熟成・燻製続きでいぶし銀感(なんだそれ)のあった流れを一気に覆していきます。
このあたりで気づくのです。
「鮨のエンターテイメント」ってこういうことか、と。
鮨の深みを存分に味わわせたかと思えば目で楽しませお客を興奮させる。最後まで絶対に飽きないようなシナリオが綿密に組まれてるんです。
カレイの柚庵焼きを挟み…
生サバ

酢締めせず、塩のみなのに臭みがない。どんな仕事をされているのか…のぞいてみたくなります。
うに手巻き

ここでウニが来る!臭みが全くなくとろけるウニ、間違いないです。
本日の赤出汁

赤だしはアラ碗は胸に沁みいる深み。添えられた辛子で味変可能。二度楽しめます。
あん肝すいか(すいかの奈良漬)

あん肝をなんとスイカの奈良漬けで握ってあります。ユニーク!!奈良漬の風味がツンと鼻に抜けた瞬間に芳醇なあん肝の風味が追いかけてくる…この一貫でしばらく話が盛り上がります。寿司ネタをネタに話が弾むって…(笑)これもまたお客にとっては楽しい要素ですよね。
おはぎ(とろたく握り)

トロと沢庵の食感が口の中で遊ぶような楽しい握り。お腹が満たされてきた頃に、ちょうど良いサイズ感です。
金目の低温調理(赤酢の煮つめ)

プリプリの食感にまた驚かされる金目鯛。ツメと身の甘みがどちらも程よく、ずっと味わっていたくなるような優しい演出の握りです。
スフレ玉子

やまけん鮨エンターテイメントの締め括り!「消える玉子」と命名された玉子焼き。その名の通り口の中で一瞬で消えてしまいます。玉子なのか、スフレなのかそれが問題だ…ここまでの22品の感動で脳はキャパオーバーになっています。
最後は一口サイズのクレームブリュレを頂きました。
少食の方だったら食べきれないかも・・とにかくすごいボリュームです。
しかも1品のクオリティに全く妥協がない。驚きの連続でした。
これで9000円ですからね、しかも銀座で。このお店、また心に栄養が欲しい時にフラッと立ち寄りたい。
多くのお客様に来て頂きたい、だからこの価格で
さて、銀座でこの価格?信じられない・・何か裏でもあるのではないのかと(笑)今回のお店のコンセプトやリニューアルについて、大将&オーナーにお話を聞いてみました。
大将:東健志郎さん
「50席の規模を活かし、小規模の鮨店とは違いある程度のスケールメリットをきかせることができます。テーブル席も利用しできるだけ席を埋める事で客単価を下げる努力をしています。それと、豊洲を介さずに地方の優良な仲卸を探し、そこから大量に仕入れることで原価も抑えられるという背景があります」
オーナー:高橋竜太さん
「当社は飲食事業を複数展開しており、『鮨やまけん』は事業譲渡によりオープンしました。以前イタリアン&鮨という業態だったのですが、コンセプトを明確にするため鮨一本に絞り、メニューも大幅にリニューアルしました。今でこそ鮨ブームで様々な人が鮨屋に通うようになりましたが、今でも『銀座で鮨』なんていうと敷居が高いイメージがあると思います。銀座でも幅広い客層の方に利用していただける店を目指しています。私自身も鮨が大好きですが近年は特にまんてん鮨などを運営する、すし天グループにかなりの影響を受けており、同じように『誰もが楽しめるコスパの良い鮨店』を目指しています。」
オーナーの高橋さんは元Jリーグの選手です。引退後「第二の人生」として飲食業を始められたそうです。若手ですが、厳しいプロスポーツの世界を経験されているだけあって、圧倒的な行動力と妥協のないお仕事ぶりが伺えます。100億円企業を目指しているという事で今後の展開が非常に楽しみなお店です。
お得すぎる「鮨やまけん」のお任せコース
しかも!今飲み放題3時間つきのコースもあるらしいです。「雅」とは少し違った内容ですが21品、「雅」とほぼ同ボリュームで10000円…にわかには信じがたい!飲み放題ではなくても複数の飲食店を運営されているメリットを活かしお酒のラインナップも充実、かつ破格です。コース一覧はこちら
飲兵衛のSUSHITIMES編集スタッフ、次回は飲み放題コースを試そうとメモに早速書き入れました。
鮨やまけん
電話 050-2018-7240
住所 東京都中央区銀座5-13-19 デュープレックスタワー銀座 9F(東銀座駅徒歩1分・東銀座駅から30m)
定休日:なし
営業時間 17:00~23:30