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“地元前”がうまい!札幌「 鮨たな華」/ 道産の最上級ネタは逃さない!妥協知らずの札幌の鮨職人

江戸前ばかりが鮨じゃない。日本全国土地の食材や、こだわりの技法を使って作られた「地元前」にこそ

うまい鮨があるはず・・ということで、わざわざいってみたくなる「地元前」鮨、探してみました。

まずは北は北海道、札幌から!

(「地元前」鮨に関する情報や掲載希望は現在こちらから募集しています)

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店内は土足厳禁。カウンター横には、スタインウェイのグランドピアノ。「非日常」という言葉が似合う鮨屋が札幌・すすきのにある。この店は、店主が頑ななまでにこだわり抜いた超一級のネタしか出さないことで話題を呼んでいる。そんな極上のネタと丁寧な江戸前仕事が評判を呼ぶ「鮨たな華」は、札幌の鮨ファンからも期待の声が高い、今注目の店だ。

店主の田中康智さんは1986年生まれの33歳(2019年9月現在)。幼少期から鮨の世界に興味があり、16歳から札幌市内の鮨店で修業を始めた。15年間の修行を経て2017年5月、31歳で独立し、すすきのに「鮨 たな華」を開業した。鮨職人としてちょうど脂の乗ってきた田中さんに、札幌で鮨屋を営む事について話を伺った。

ー15年間もの修行は辛くなかったですか?

好きで入った鮨の世界、毎日好きな事と向き合える日々で辛いと思った事は一度も無かったです。日々鮨と向き合い、妥協しないでとことん追求して行き、いつかこのお店を素晴らしいお店に変えようと思い日々仕事をしていました。いつしかその思いが自分の店を持つという目標に変わりました。仕事を覚えるために勤務時間外を使い、他の鮨店の食べ歩き、あらゆる鮨、料理に関する本を読みあさり、店で学べない事は独学で勉強して来ました。

ー田中さんが目指すのはどんな鮨ですか?

私が目指す鮨は、人を幸せな気持ちにする鮨です。人はどんなに辛くても、疲れていても、怒っていても、美味しい物を食べると自然と幸せな気持ちになります。そんな鮨を作れるように日々仕事をしています。北海道で水揚げされる素材は勿論ですが、全国で水揚げされる素晴らしい素材、鮨屋の絶対的な花形である鮪、全てに妥協をしません。自分が食べたい、感動出来ると思う素材以外は絶対に仕入れをしないと意識しています。

ー札幌の市場なら、最上級の地元のネタが手に入りやすいのでは?

北海道で水揚げされる物の中でも評価、質の高い素材は昔だと築地市場、今は豊洲市場に流れてしまいます。その為、北海道で水揚げされたピンの素材たちは残念ですが北海道の市場には並びません。北海道にいるのに地元のピンの素材が無い、これが現実です。20代前半の頃に勉強のため鮨の本場である東京で働かせてもらい、当時の築地市場を見た時に北海道の市場よりもレベルの高い北海道の素材が並んでいる事に驚きました。それを打破するためには豊洲から買い戻すか、生産者と直接やり取りをするかの二択になります。私が選択したのは出来る限り後者の方でした。仕入れは市場だけには頼らず、漁師から直接買わせて頂く物も多数あります。

ー地元の最上級の食材は北海道には無い・・だから「漁師ルート」に頼る事になるのですね。

はい。幸い漁師の友人がいる私にとっては後者選択の方が都合が良かったのです。時間の許す限り浜に通い、時には船に乗せて頂き生産の現場の現状を教えて頂く。こうして地元の漁師さんとの関係をしっかりと築き、ピンの素材を仕入れさせて頂いています。その漁師繋がりの延長で長崎県対馬の漁師さんとも繋がり、対馬の素晴らしい素材を仕入れ出来るようになりました。

ー豊洲の仲卸からも仕入れる事はありますか?

はい。まぐろに関しては日本でもトップクラスの目利きで仕入れ力のある、やま幸さんと御縁を頂きお付き合いをしています。仕入れ値の上限は言わないのでトップクラスの物をとお願いしています。結論、良い仲卸さんとお付き合いする事もとても重要ですし、生産者の方との関係を築くのもとても大事な事です。どの方法を選択するかはその方次第と私は思います。

ーたな華の鮨は「江戸前」を意識していますか?

保存を目的とした技術から進化し今は旨味を引き出すもしくはプラスαする技術である江戸前の仕事がとても好きです。たな華の鮨は、先人が築き上げて来た江戸前の技術を応用し、どうしたら素材が舎利と合わせた時に美味しくなるかを追求しています。舎利は新潟の契約農家の米と3年熟成の赤酢(粕酢ブレンド無しの一種)に塩のみで仕上げています。

 

ーたな華の自慢のネタについて教えてください。

脱水熟成うに

うにと言えばほとんどのお店が、折うに、塩水うにを仕入れそのまま提供していると思います。
私の感覚では自分で一から仕込みをしていない物をお客様に提供するのはNGです。
たな華では殻付きのままうにを仕入れ自分で仕込みをし提供しています。
うにの身を殻から外し綺麗に掃除した後、水分を吸収する紙に包み氷温にて熟成を開始。
程よく水分が抜け、雑味のないうにの甘味、なんとも言えないねっとり感が舎利と抜群にからみます。

煮あさり

北海道の厚岸で水揚げされる大きくて身のふっくらしたあさりを、煮ハマグリの技法を用いて仕込みをし提供。
お客様には地場の素材と江戸前の技法の組み合わせを喜んで頂いています。

穴子

たな華の握りの最後の定番です。穴子は北海道で獲れる物ではなく、長崎県対馬で水揚げされる物の中でも僅かしか水揚げされない「スペシャル」と呼ばれる物を使っています。とにかく慎重に触らないと崩れてしまうくらいの柔らかさに仕上げています。ふっくら柔らかく仕上げた穴子と舎利の相性にはもはや言葉はいらないと思います。

「何を食べても一緒とか、食べられれば何でも良いと言われる方は難しいのです。でも、そういう方をも魅了出来る仕事、味を出せて初めて鮨職人、料理人として価値が生まれるのかなと思います。」

田中さんが鮨職人として目指す目標は常に「食に興味の無い人を感動させる事」だという。一本気で妥協知らずの若手鮨職人が織りなす鮨の世界は、日常の疲れを吹き飛ばしてくれるような、もてなしの心に満ちている。

<”地元前”がうまい!>この記事では、全国から地元ならではのこだわりの食材を提供しているお鮨屋さんをSUSHI TIMES編集部が取材します。(「地元前」鮨に関する情報や掲載希望は現在こちらから募集しています)

鮨たな華

北海道札幌市中央区南6条西1丁目6.1ビル1階

地下鉄東豊線豊水すすきの駅より徒歩5分

豊水すすきの駅から151m

電話:011-215-0120

完全予約制

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