SUSHI TIMES

29歳で店主に。目標へとひた走る女性鮨職人の7年<後編>

2019年4月20日、金沢に鮨と和食の店を開店予定の鮨職人・畠中亜弥子さん(29)にインタビュー。

前編はこちら

敷居の低い店を目指して

「はた中」のこだわりは、鮨屋の堅苦しいイメージを取り払い、誰でも入りやすい店にすること。きちんとした雰囲気を崩さない範囲でいかにカジュアルダウンするかがポイントだった。

建物は、第二次世界大戦後に建てられたという伝統的な建築の金澤町家。内装は何時間でも居たくなるような雰囲気を作るため、照明の色、椅子の高さなど細部までこだわっている。

 

「内装、メニュー作りなど『はた中』でアウトプットしていることは、私のこれまでの全部が繋がっている。全ての経験が無駄じゃなかったんだと思いました。」と語る畠中さんの表情は爽やかな自信に溢れていた。

店のオリジナルロゴ

素材はできるだけ地のものを活用する。金沢は、魚はもちろん貝類も豊富にとれる。文字通り金沢は食材の宝庫だ。畠中さんは近くの市場に足繁く通い、この土地の食材を自分のものにしていく。地元の人が好んで食べるというトリ貝やバイ貝、きのこ類や加賀蓮根も店の看板メニューになる予定だ。また、店内には日本酒をこよなく愛する畠中さんと板前の武村さんが厳選した銘酒がずらりと並ぶ。

開業にあたっての資金は足りていたが、開店前にファンを作り知名度を上げるためクラウドファンディングにも挑戦している。

 

実はこのファンディング、初日に70万円の目標額を達成し、4月19日現在は300%に迫る勢いで支援を集めている。

支援へのリターンは同店の食事券がメインだ。応援すると割引価格で食事もできるとあって、支援のハードルは低い。また、ページから伝わる畠中さんの誠実で前向きなキャラクターと店のコンセプトが読む者に「応援したい」と思わせる魅力なのだろう。

「支援してくれた人の一覧を見ると、遠い昔に会ったきりの知人の名もありました。覚えていてくれたんだ、と嬉しく思いました。中にはびっくりするような金額の支援を頂いた方もおられて。マレーシアの鮨店で私の前に座ってくれたあのお客さんでした。涙が出ました。」

目標があるから、今を無駄なく生きられる

畠中さんは歴7年にして、和食、和菓子、海外、鮨、開業、経営と将来の目標である自分の店を持つための技術・知識を全方位的に学んでいる。しかも偶然ではなく、自分の意思で。彼女には「なんとなく」という意思決定がない。それは将来自分の店を持ちたいという目標と覚悟があるからこそだろう。さすが、しっかり者のおふくろさんだ。

将来の目標は、と尋ねると、意外な答えがかえってきた。

「これからの人生、結婚や出産が控えているかもしれません。そうなった時に家庭の都合で休むのではなく働きながらカウンターに立っていたいと思うんです。特に料理人は仕事と家庭との両立が難しいと思うのですが、そういう状況の変化にも対応できる働き方を自分で作っていきたいんです。」

目下、自分の店を持つという目標に向かって突き進む畠中さんだが、その先の目標は自分が長く働けるような環境を整えることを考えている。彼女の夢は大きいが、それを無理なく続ける方法も同時に準備しているのだ。

「サスティナブルなキャリア」。

畠中さんに出会って、そんな言葉が頭に浮かんだ。夢とその途中にある何度かの中断。特に女性なら一度はぶつかる壁かもしれないが、畠中さんなら、その都度持ち前の行動力と順応性で切り拓いていくのだろうなと予感した。

畠中さんは来る4月20日のオープンに向けて大忙しの日々だ。「おすしと和食 はた中」のクラウドファンディングは2019年4月25日23:59まで支援を受け付けている。金沢への旅行がてら、オープンしたての「はた中」を覗きに行くのも楽しそうだ。

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おすしと和食 はた中

JR金沢駅兼六園口(東口)より徒歩3分
営業時間: 17-23時
定休日: 水曜
電話番号: 050-3503-3200
※電話予約受付は10時 – 21時
ホームページ
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畠中さんデザインのLINEスタンプ。SUSHITIMES読者なら使い道が多そう。

 

文:SUSHITIMES編集部

画像出典:MOTION GALLARY