波打つような流れのなかに光る丁寧な仕事

上.脂がのった身をしっかりと〆た小肌。旨みを閉じ込めた赤身のづけ。ツメを塗らずに供する煮蛤。つまみと握りのおまかせ13,000円〜。下. 「毎朝髪をしっかり剃ることで気持ちが引き締まります」と橋本さん。L字型のカウンターのみで全8席。
ななつぼし、つや姫、魚沼産コシヒカリの3種をブレンドした酢飯は、一粒一粒の存在をしっかりと感じる。塩と酢をキリッと効かせた酢飯に、きちんと仕事をした種がよく合う。たとえば、蛤の煮汁に2日ほど漬け込んだ煮蛤や、燻した鰆など──。「コースに、香り、温度、熟成などを効かせた種を組み込むことで、単調にならない流れを作ることを大切にしています。食材には限界があるので、いかに仕事をするかが重要なんですよ」
そして、つまみにも唸る。味噌漬けにした牡蠣やほたるいかなど、日本酒がつい進んでしまう肴が供される。「神保町 傳」の長谷川在佑氏と交流があり、発想を得ることもあるとか。握りの手前で、胃袋を掴まれる食べ手が多いのもここの特徴だ。橋本裕幸氏は「お客さまに勉強させてもらいながら、自分の味を確認しつつという毎日です」と謙虚に語る。 (文・外川ゆい)
鮨 はしもと
東京都中央区新富1-15-11マキプラザ 1F
Tel.03-5541-5578
営18:00〜21:30最終入店
休 月曜