すし屋の裏表ナイショ話 – 常連と一見で違う?お勘定のからくり | SUSHI TIMES

すし屋の裏表ナイショ話 – 常連と一見で違う?お勘定のからくり

わかるようでよくわからない、にぎりの値段のアレコレ。
下町の人気鮨店・店主が明かすお勘定のからくりです。

鮨屋の仕入れ値は毎日変化する

にぎりの場合、上寿司とか並寿司とか、セットものの価格はメニューなどに書いていますが、単品のネタの値段を表示しているところは少ないですよね。その日によって仕入れ価格が違うから、大量に仕入れるチェーン店でもない限り、毎日、同じ料金でお出しすることは難しいんです。これがお勘定を分かりにくくしている原因かも知れませんね。

鮨屋の粗利は6割が基本

 普通の飲食店の材料の原価は、3割程度って聞いています。寿司屋の場合、単品で売るネタの原価が4割で、粗利が6割っていうのが基本です。そこから人件費や家賃、光熱費を支払う。かなりきついのが実情ですよ。ひとりパートを雇ったら、それだけで時給1000円は飛んじゃいますからね。寿司屋はネタにお金をかけているんです。

 目安としてですが、お好みにぎりのネタは、原価の2.5倍ほど。金額にすると、たとえば中トロは1カン500円くらいです。一番の売れ筋商品である「上寿司」が3000円で、うちではこの中に中トロを2個入れています。なので結局、その日のネタの仕入れ値によって、原価が5割以上になってしまう場合もあるんです。
 肝心のマグロの仕入れ値だって、日によって10%とか20%とか上下するんだから、500円でも元が取れないことがあるんですよ。ただねぇ、寿司屋にマグロがなくちゃ、話になりません。それで清水の舞台から飛び降りたつもりで仕入れるわけだけど、そのままお客さんの売値に反映させたら「あの店、ボリやがって」なんて言われちゃう。そんな噂が広まったりしたら、お仕舞いですからね。それで仕方なく、通常の料金で出すことになるわけです。これ、うちらの世界では「マグロに泣く」というんです。だから、平気な顔で「マグロのいいところください」なんて言われると、ムカつくこともありますよ(笑)。

 よく、常連さんと一見のお客さんでは、同じものを頼んでも値段が違うんじゃないかって聞かれるんですが、本来そういうことはありませんね。でも、繁華街で一見客が多い寿司屋は別にして、普通の店では7割がた常連さんで商売が回っているようなものなんですよ。だから、値段は同じでも、切り身の厚さとか、脂ののりのいいところとか、そういう差をつけて、分からないようにお出しすることはよくありますよ。

損が出ても「いつもと同じ値段」にすることも

 ただね、毎日のように通っていただける方もいらっしゃる。それが日によって値段がコロコロ変わるようじゃ、お客さんだって安心して注文できないわけですから、そういうときには、「このお客さんは、だいたい**円くらい召し上がる」と考えて、ネタの高い日でも、逆に安く仕入れられた日でも、だいたい、いつもと変わらないような金額にするってことはあります。そもそも常連さんというのは、続けて通っていただける方々ですから、長い目でみればお互いに帳尻が合ってくるものなんですよ。

出典:おと週ぐるめ