SUSHI TIMES

【銀座鮨 たかはし】名店出身の最年少大将は銀座の純真

ひと昔前は寿司職人のキャリアを「飯炊き3年、握り8年」なんて表現しました。
かつての鮨業界では20代、30代の職人が店を持つなんて考えられなかったのです。
しかしそんな鮨業界も様変わり。ここ数年、若手でも自分の店を持つ方が珍しくなくなりました。
開業して数年で予約困難な人気店へと成長させてしまう若手職人もいます。

そこで、いま活躍する若手大将たちにフォーカスしてみました。

お一人目は「銀座鮨 たかはし」の高橋 潤氏。

「お客さまに喜んでもらうために毎日一生懸命頑張るだけ」と語る高橋さん。

JUN TAKAHASHI
高橋 潤
Age 31(2018年11月現在。1987年生)
専門学校卒業後、銀座の江戸前寿司の名店で8年間修業。2014年3月、「鮨 たかはし」を開業。休日は趣味と実益を兼ね、さまざまなジャンルの食べ歩きにいそしむ。

名店出身の最年少大将は銀座の純真

2014年春に9席の店を開業するや、瞬く間に人気店に成長させた高橋潤氏。銀座の一流店での修業を経て独立したのは26歳という若さで、銀座の寿司店の大将としては現在も最年少だ。

「修業先で教わったことを丁寧に守る」姿勢で握る寿司は、正統派の江戸前。だが、「若いからこそ新しいことにチャレンジしたい」と、つまみには独自の工夫を凝らすのが高橋流だ。たとえば白子は白味噌仕立てのスープとし、牡蠣は低温の油で火を入れてフレンチのコンフィのように仕上げる。そうしたアイディアは、休日の食べ歩きから生まれるのだとか。

独立して良かったことは、「組織の中では効率重視で時間をかけられなかった仕事に対しても、妥協せずに時間をかけられること」。とくに時間を注いでいるのが玉子焼の材料として欠かせない「芝エビのペースト」作りだ。芝エビは時間をかけて練るほど甘味が出るという。

「寿司はシンプルだからこそ、ごまかしが利かない。ちょっとしたことで美味しくなるし、まずくもなる」。

それゆえ魚の目利きが大切だと、高橋さんは毎朝6〜7時に築地市場へ買い出しに出かけ、夕方までかけて約25種類の魚介の仕込みを行う。魚は時期や大きさによって脂ののり方が異なるが、塩の加減やねかせる時間を変え、つねに理想の美味しさを引き出そうとする姿勢は、まさに職人。その姿は、銀座の純真である。 (文・小松めぐみ)

左.握りは幅広に切りつけたネタと赤酢で味付けしたシャリのバランスが絶妙。左からマグロ、コハダ、穴子。穴子は煮て握る直前に炙り、お好みでツメを塗る。右. 大谷石の壁に囲まれた店内はカウンター9席。予算は¥20,000。

鮨 たかはし
東京都中央区銀座1-14-14 森川ビル 1F
Tel.03-3561-6503
営17:30〜21:30最終入店
休 水曜

出典:GQJAPAN