あなたの仕事、天職かどうかを見分ける「3つの質問」 | SUSHI TIMES

あなたの仕事、天職かどうかを見分ける「3つの質問」

■名人だからこそ、さらなる高みを目指す

「自分の仕事に没頭して、さらに上を目指す。今で止まるんじゃなくて、もっと上を目指す」。
皆さんはそんな気持ちで毎日お仕事をされているでしょうか。これは、当代切っての名人、いえ神様とまで呼ばれる一人の職人の言葉です。90歳を過ぎた今なお現場に立ち、さらなる高みを目指して、自分との終わりなき闘いを繰り広げています。まさに天職に巡り合った人の境地ではないかと思います。

超一流の仕事人の技と心を紹介するNHKの人気番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」。そこに何度か登場したすし職人、小野二郎氏が、「プロフェッショナルとは?」と問われて発した言葉でした(番組ウェブサイトより、以下小野氏の部分同じ)。

内閣府の「国民生活に関する世論調査」(平成26年度)によると、働く目的として「お金を得るために働く」を挙げた人が過半数にも上りました(51%)。以下、「生きがいを見つけるために働く」(21%)、「社会の一員として、務めを果たすために働く」(15%)、「才能や能力を発揮するために働く」(9%)という順番になっています。

お金のために働くのが悪いわけではありませんし、もともと仕事とは「(生きるために)なすべきこと」という意味であり、働いて稼がないと生きていけません。ただ、それだけのために働くのでは、働きがいがありません。

小野名人の境地に達するのは無理だとしても、心からやりたいと思っている仕事や、誰かの役に立つ仕事をやりたいもの。みんなが天職に巡り合えれば、働き方は大きく変わっていくはずです。

■天職かどうかを見分ける「3つの質問」

皆さんは、今やっている仕事(職業)を天職だと思っていますか。「よく分からない」「どうやって見分けるのか?」という人のために3つ質問を用意しました。あわてて答えを出す必要はなく、じっくりと内省をしてみてください。

(1)その仕事は、身をなげうってでもやりたいと、心から没頭できるものですか?

(2)その仕事は、あなたの個性や能力が生かせ、あなたしかできないものですか?

(3)その仕事は、大きな期待が寄せられ、本当に必要とされているものですか?

いかがでしたか。3つとも明快にイエスと言い切れる人は、天職をまっとうしようとしている人だと思います。これが、今回ご紹介したい「Will/Can/Must」のフレームワークです。

■世の中には4種類の仕事がある

最初の質問がWill、すなわち「やりたいことをやっているか?」を問うものです。自分がやりたくないことをやらされることほど、苦痛なことはありません。逆にやりたいことであれば、仕事に没頭でき、優れた成果を生みやすくなります。

2番目の質問がCan、「できるかどうか?」です。といっても、誰でもできるものでは、天職と呼ぶには物足りません。あなたの能力を持ってしかできない、というレベルを期待したいところです。言い方を変えれば、あなたの個性や能力にふさわしい仕事かどうかがCanです。

3番目の質問がMustであり、「やらなければいけないか?」を問うています。周囲や社会から必要とされていないことをやっても意味がありません。よく言われているように、働くことは「はた(周り)を楽にする」、すなわち誰かの役に立つことですから。

Will/Can/Mustの3つがそろったのが、一生かけてまっとうすべき「ライフワーク」です。

Willが欠けると、生計は立っても、好きでもないことを我慢してやる羽目になります。食べるために飯のタネとしてやる、「ライスワーク」です。

Canが足りないと、やりきれずに破綻したり、いずれやる気がうせてしまいます。自分に嘘をつくことから「ライワーク」と名づけてみました。

Mustが欠けていると、やっていて楽しいかもしれませんが、趣味や道楽の域を出ず、お金を稼ぐことが難しくなります。「ライクワーク」と呼ぶべき仕事です。

■どうやったら天職と出合えるのか?

こう考えていくと、3つそろえるのは簡単ではなく、普段やっている仕事のかなりの部分が「ライスワーク」ではないかと思います。それが冒頭の調査データにも端的に現れています。

では、一体、どうやったら天職に出合うことができるのでしょうか。魔法の方法はありませんが、冒頭で紹介した小野名人の話が示唆に富んでいます。

「(働き始めたのは、小学校の時。奉公先の料亭では、)生来不器用な小野は、何をやっても時間がかかり、怒鳴られてばかりいた」そうです。WillもCanもなかったことが読みとれます。ところが、名人となった今は、このように述べておられます。

「自分が(就いた仕事が)いやだとね、『俺これ合わない』って皆言うんだけれども。“合わない”じゃなくて、自分が“合わせるんだ”ということ。(中略) だから一生懸命やれば、段々自分が好きになって、その仕事に惚(ほ)れ込んでね。いろんな事を考えがてらやったり、自分が前へいこう、前へいこうとしてやるから。やはりそれは自分の気持ち次第だと思いますけどね」

どうやら天職とは、天から与えられるものではなく、自らがつくり出すもののようです。

執筆:堀公俊
日本ファシリテーション協会フェロー。大阪大学大学院工学研究科修了。大手精密機器メーカーで商品開発や経営企画に従事。1995年からファシリテーション活動を展開。2003年に日本ファシリテーション協会を設立し、研究会や講演活動を通じて普及・啓発に努める。著書に「問題解決フレームワーク大全」「会議を変えるワンフレーズ」など。

出典:NIKKEI STYLE