SUSHI TIMES

お鮨とは切っても切れない「海苔」のお話

お鮨屋さんには欠かせない『海苔』ですが鮨ネタに比べるとその実態はあまり知られていないようです。

海苔の代名詞といえば「浅草のり」ですがこれは商品名ではなく、海藻の品種名なのです。

アサクサノリって?

アサクサノリの名は、浅草名産「浅草紙」の作り方からの由来だとか諸説ありますが、もともと浅草で作られていたのは間違いありません。学名を付けたのはスウェーデンの人で、それ以降標準和名も『アサクサノリ』になったといいます。しかし、アサクサノリは生命力が弱い種で、東京湾ではかなり前に絶滅しています。全国的にも野生種はほぼ絶滅状態です。現在栽培されてるのは殆どが『スサビノリ』で、宮城から鹿児島まで全国各地で生産されています。

色が黒めで大きく育ち、病気にも強いスサビノリは現代の日本の海苔の主流です。

 

画像出典:サイエンスウィンドウ

海苔の歴史

 

平安時代、のりは貴族の食べ物でしたが、江戸時代中期に東京の品川や大森沿岸で海苔の養殖が始まりました。干潟に竹を立て、そこに付着した海苔を収穫していたのです。収穫した海苔は板状にすいて販売され、当時「浅草海苔」として全国に広まりました。それでも海苔は庶民には高嶺の花の食品でした。

一方スサビノリは、北海道函館地方の地名「すさび」にちなみ、その名が付けられました。

画像出典:作本海苔店

 

海苔の種類

この他、海苔には青のりやアオサなどもあります。
青のりは香りも良く、アサクサノリの代用品として、「すき青海苔」に加工されます。
乾燥粉末は香りが良い良品です。アオサは奄美や沖縄でよく採れ、粉末の「青粉」に加工されます。

この2つは見た目はよく似ていますが、味も用途も大きく異なります。

海苔の栄養

ビタミンAが鰻の3倍という事実はよく知られていますが、他のビタミンもアミノ酸やミネラルなども非常に豊富です。
特にタウリンやポルフィランなどの多さが目を引きます。海のエキスが凝縮した食べ物だと言えるでしょう。

寿司に使う海苔

海苔は品質ごとに等級が細かく定められています。品質等級では優等~七等まで9段階。
それはさらに検査格付けされて上~規格外まで15種に分けられます。
これらの中で上位の海苔は『寿司用海苔』に使われます。
海苔のサイズには規格があり、全形が〔縦21cm 横19cm〕になっていますが、これが寿司に向いたサイズなのです。

画像出典:手前板前

この全形を10帖(じょう)〈1帖は10枚〉にまとめ、これを36把入れたものが『海苔の箱』で、1箱に3600枚入っています。
細巻きサイズの海苔は大体100mm×180mmで、これは丁度全形ノリを半分にカットしたくらいになります。

しかし寿司用海苔といっても太巻き用の縦横22㎝サイズの大判があったりしますし、また、寸足らずにもなったりする物もあり、規格から外れるものが出てきます。これらを【寿司ハネ】と言いまして、品質は寿司用の高級品ですが、サイズなど格付けの段階ではねられてしまった海苔だという訳です。

海苔にまつわる豆知識

★海苔には裏表がありまして、ザラザラした面とツルツルして光沢がある面があります。多くの方がツルツルした面が表だと答えるでしょう。ところが実際には逆なんです。ザラザラした面が表になるんだそうです。

★海苔を焼くとき板前は二枚同時にうちわで扇ぐ様にしながら焼きます。焦がさず香り良く焼くためです。

★和食で磯とか磯部というのは海苔を使った料理、あるいは海苔そのものを指します。

海苔の名産地ランキングベスト5

全国の海苔の産地と生産量の比率を見ていきましょう。

1位:佐賀有明 全体の22%

海苔と言えばやっぱり有明です。
その中でも佐賀有明は、地区町村規模で見ても全国第1位の生産枚数を誇り、全国から海苔養殖のプロフェッショナルが集まる地域として知られています。

2位:兵庫県 全体の18%

瀬戸内の海苔といえば、兵庫県。
明石海峡を中心とした潮流の早い漁場で育まれた『兵庫のり』は、潮と寒冬の季節風にもまれ、やや硬いものの、その分色が黒くつやが良いのが特徴。

3位:福岡有明 全体の14%

堂々の3位は福岡有明。
有明海苔の産地である有明海は、九州の一級河川である大きな筑後川と矢部川から栄養豊かな水が流れ込んでいる栄養豊かな海。約6メートルの干満の差があります。有明海苔はその干満差をうまく利用して海苔作りが行われているのです。

4位:熊本県 全体の11%

4位は九州は、熊本県。熊本県を含めて九州3地域で約5割程度を占めています。 有明海に程近く、栄養価の高い海苔で有名です。

5位:宮城県 全体の8%

東日本の海苔は、宮城県。かすかな甘さと風味が格別とされる宮城県の海苔は、東日本大震災により、壊滅的な被害を受けましたが、生産枚数は5位にランクイン。

上に紹介した5県で、昨年の全国海苔生産枚数の73%を生産しています。
なお、海苔の主な産地は九州、瀬戸内海、宮城県、千葉県、伊勢湾などが有名で、ここでは紹介しなかった香川県や愛知県も生産枚数では惜しくも6位だったものの、立派な海苔の産地です。

出典:ちいきごと