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春の魚 / サワラ 場所によって旬が変わる出世魚

春の魚、というわけでもない?


魚へんに春と書く魚ですから、春が旬なのかなと思いがちですが鰆は回遊魚なので地域によって旬が変わってきます。瀬戸内海近辺では春ですが、関東では冬です。全国的に旬の時期は10月~6月。関東では冬、瀬戸内海では春とされます。

出典:網走市オフィシャルサイト

どんな魚?


鰆は、体長が1m以上にもなる大きな魚で、胴体が細長く狭い腹から「狭腹」(さわら)と言われるようになったそうです。鰆は出世魚で、関西ではサゴシ → ヤナギ → サワラと呼び名が変わります。

「菜の花を添へて鰆の淡煮かな」(作・石脇みはる)

俳句の世界では、鰆は春の季語になっています。関西の食文化が元になっているようです。東北や北海道の人なら、春と言えばニシン(春告魚)を思い浮かべるかもしれません。
さわらは、身がやわらかいことが特徴です。煮崩れしやすいので、刺身や焼き物、フライなどに向いています。淡白な白身なので、春物なら西京漬けや柚子風味の幽庵焼き、脂の乗った寒さわらは、皮目を炙って刺身にしたり、マリネにするとおいしくいただけます。

出典:macaroni

名前の由来


細長いという意味の「さ(狭)」に「はら(腹)」、つまり腹が狭くほっそりとした体形というのが語源です。一般的に鰆の漢字を使うが、これは春に産卵のため外界から瀬戸内海に入り込み、春に漁期を迎えることから「春を告げる魚」が字源となったからだそうです。ほかに「狭腹」「小腹」「馬鮫魚」などと表記します。ほかのサワラ類と分類して「ホンサワラ」と呼ぶことがあります。成長するに従って呼び名が変わる出世魚であり、30~40cmの若魚をヤナギ、40~50cmのものをサゴシ(狭腰、あるいは青箭魚)、50~60cmのものをナギ、60cm以上のものをサワラと呼びます。高知県では小さいものをゴシ、シマウマと呼びます。地方名にアカキュウベエ(三重・静岡)、カマチ(九州)、グッテリ(四国)などがあります。なお、石川県の方言では「サワラ」はカジキを指します。

出典:八面六脾

サワラ(鰆)の旬は春?それとも冬?


春が旬の魚なので「鰆」と書き、俳句でも春の季語となっている。これはサワラが5月~6月にかけて産卵のため外洋から瀬戸内海などに押し寄せてきて沢山獲れる時期だったことが由来。この時期春先から初夏にかけて、土佐に始まり和歌山や岡山などの漁期にあたります。こういった地方では古くからこの時期にサワラを獲って食べていたため、真子や白子と共に食べる文化があるので、この時期が旬とされています。
しかし関東などでは主に白身の味を楽しむほうが主体で、「寒鰆」と言われる産卵期前の脂がのった12月~2月の真冬が旬とされています。どちらもそれぞれ違った美味しさがあって旬と言えますが、産卵を終えたばかりの夏のサワラはあまりいただけないようです。

出典:旬の食材百科

サワラは貪欲だけどデリケートな魚です


サワラは生まれた頃から鋭利な歯を持っていますが、実はとてもデリケートな一面を持っています。一般的に「漁業」といえば、網で大量の魚を獲っている様子を思い浮かべるものです。しかし、この方法でサワラを捕まえようとするのは問題があります。なぜなら、サワラは網にかかるとすぐに死んでしまうからです。
香川県でのサワラは「グッテリ」と呼ばれています。サワラは釣り上げたばかりのときは元気良く暴れるが、すぐに弱々しくなって死んでしまうことが、サワラが「グッテリ」と名付けられた理由といわれています。貪欲に獲物に喰らいつくような魚なのですが、元気がありすぎて逆に体力を一気に持っていかれてしまうのでしょう。
しかし、サワラに体力がないのか? というと、そうではありません。サワラが泳ぐスピードは時速100kmといわれています。これだけ速く泳げるサワラに、体力がないとは考えにくいですね。暴れて体力がなくなってしまうのではなく、大きい身体でも実はかなり脆い(もろい)のかもしれません。こういった理由から、漁で水揚げされたサワラは生きたまま提供されることも難しいようで、サワラの活け作りは滅多に食べられないといわれています。

出典:サワラのおもしろ雑学・トリビア

主な調理方法


<刺身>
サワラは皮と身の間に独特の香りとうまみがあり、皮の歯ごたえと身の柔らかさとを活かす意味でも皮をつけたまま切りつけることをお勧めします。皮目をバーナーであぶると香ばしく、皮も歯切れが良くなりより美味しく食べられます。昆布締めにもよくされる他、なめろうのような和え物なども美味です。

鰆の炙り刺身

作り方はこちら
 
<焼き物>
淡白で独特の旨味を持つ鰆はよく西京味噌漬けにされる。冬のサワラは脂が乗っているので塩焼きも美味しいが、塩焼きの場合は身が柔らかいので、軽く塩を振って締めておいてから焼くと良いです。春のものなどは脂が少なく淡白なので、西京漬けの焼き物や、酒、醤油、みりんにユズなどの柑橘を加えた調味液に漬け込んで焼き上げる幽庵焼き(ゆうあんやき)がお勧め。

鰆白味噌焼き(西京焼き)

作り方はこちら

<天婦羅>
あげるとふっくらとした食感がたのしめる鰆。天婦羅にして、シンプルに塩で味付けるのも良いですね。

サワラの天ぷら山椒塩添え

作り方はこちら

 

鰆の捌き方(刺身用)


ちょっとサイズは大きいですが、サバ科の魚なので捌き方はベーシックです!
ぜひチャレンジしてみてくださいね。