SUSHI TIMES

自宅の寿司バーは、世界のノブ・マツヒサのやすらぎの場所。


世界的なカリスマ寿司シェフ、松久信幸氏。世界で最も成功している料理人の一人とも言われる方です。そんな彼のオフの顔を取材した記事があったのでご紹介します。松久氏の自宅にある寿司カウンターで行われたインタビュー。忙しく駆け回る松久氏にとって自宅のカウンターは唯一のやすらぎの場所と言っても良いのかもしれません。

 



松久信幸氏(通称:ノブ・マツヒサ)
68歳(取材当時)
職業:寿司シェフ
経歴:母国日本で寿司づくりを学び、若き職人時代をペルーとアルゼンチンで過ごし腕を磨いた。寿司店を数度開業し不運な結果に終わるが、やがてビバリーヒルズで「マツヒサ」、ニューヨークで「ノブ」を開店し成功する。マツヒサの常連客だった俳優のロバート・デ・ニーロが寿司店の共同経営を熱心に誘ったことで1994年のノブ開店に至った。いまでは17カ国で30数店舗を擁するホスピタリティ・グループへと発展を遂げている。

 

ノブ・マツヒサが最も好きな場所


松久氏自らがデザインした寿司バーは、彼の大きな自宅の1階のトレーニングジムとプールの隣にある。その寿司バーは8人掛け。松久氏以外がそこで料理することはない。「この寿司バーは私の遊び場みたいなものです」と彼は言う。「あと、実験室みたいなものでもあるかな」

 

日本の伝統工芸品「だるま」が飾られたバーカウンター。松久氏は彼の家族の為に包丁を握るという。「家族だからといって特別扱いはなしです」と松久氏。「家族は私が作るものは皆、好きなのです」

有名人をこのバーに招待するのですか?


「この家には誰も招待した事がないですね。私は家族の為に年1度か2度料理をするだけ。クリスマスとか、新年とか。家だから特に変わったものを作るということはないんですけどね。この家に引っ越してくる前に住んでいた家にも、寿司バーがありました。その時はロバート・デニーロさんが寿司を食べに来ましたよ。1年のうち10ヶ月も外を飛び回っている私にとって、家は非常に重要なのです。一人になる時間、プライバシーが必要です。家では、家族以外には会いませんから。」

 
 

包丁には松久氏の名前が刻まれている。包丁は寿司をつくる上で「最も重要な」道具だと語る松久氏。「魚を美しく切りつけるためにも、常にきちんと研いでなければいけないのです」。


「私のレストランにある寿司バーのほとんどにはネタケースがあります。しかし家の寿司バーにはないでしょう。カウンターと、冷蔵庫と、魚と米しか置きません。その方が、仕事から離れている気になるので。楽しいんですよ。ここは私のステージなんです。自分のステージだけは誰にも譲れません。そして、私が自身のために一番良いと思う鮨を作る方法も忘れたくないのです。今、私は孫娘たちに鮨の握り方を教えているんですよ。」

バーの後ろにたくさんのテキーラボトルが並んでいますがここでお酒を飲むこともあるのですか?


「はい、私はワインも酒も好きです。でも仲の良い友人といる時は、ワインを飲み終えたらテキーラをショットで飲むのが好きなんです。」

 

この置物に書かれた日本語の意味は。

 


「日本語で、これは「継続」という意味です。私は止まりたくない。私は前進し続ける事が好きなんです。それがたとえ1日1ミリであったとしても。それが私のモチベーションと情熱を強くさせてくれるのです。」

 
出典:The New York Times 原文を日本語に訳しています