穴子を極める! 熟練職人の技を大公開


美味しい江戸前穴子が食べたい!

皆さんは江戸前寿司といえばどんなネタを想像するだろうか?「穴子」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか?ふっくらとした煮穴子は大人から子供までとてもファンの多い寿司ネタである。東京下町にある『すし乃池』は穴子寿司で有名な銘店だ。そんな銘店の職人技を今回は紹介してみたいと思う。

まずは知っておきたい穴子の基礎知識



生態について
体長は平均1mほど。沿岸から内湾の水深100mに満たないエリアに生息し、昼間は砂や泥の中に潜って身を潜めているが、夜には餌を求めて海底付近を這うように泳ぎ回る。

主な産地 ※写真下
日本最南端、沖ノ鳥島の南方が穴子の産卵場。その後黒潮に乗り日本海・太平洋へ。東京湾で獲れた「江戸前穴子」が有名だが、瀬戸内や長崎の対馬、また韓国のものも高値で取引される。

旬の時期は4~8月、梅雨の頃に最盛期を迎える。都会に近い内湾で多く獲れるため、鰻同様、古くから馴染み深い魚だが、その生態については依然謎に包まれている部分も多い。

熟練職人の技術の賜物、その一『捌き』



1、穴子は毎朝、河岸から活き〆の状態で運ばれてくる。取材当日の仕入れは約25kg。
2、穴子の頭を右にし、腹側を上に置く。目打ちを打ち付けてしっかりとまな板に固定。
3、背側から包丁を入れ(関西では腹側から)、中骨に沿うように尾びれまで包丁を滑らせる。
4、包丁の刃が常に中骨にあたるように、やや包丁を傾けながら、少しずつ進めていく。
5、身を開いて丁寧に内臓を取り除く。『乃池』では肝を煮付けにするので別にしておく。
6、中骨の下に包丁を入れて沿わせるように尾びれまで切れ目を入れ、一気に中骨を取り除く。
7、頭を落として腹の骨、尾びれ、背びれを取り除いたら水洗いをして下準備終了。

俗に鰻屋の職人の技術の難しさについて「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」といわれる。『乃池』の穴子は蒲焼きではないため、串打ちや炭火で焼く技術は求められないが「裂き」の技術が重要であることは言うまでもない。

穴子の仕事は1日にして成らず、その二『煮る』


1、さばいて骨や内臓などを取り除いた穴子は、流水できれいに洗っておく。
2、大鍋にすべての穴子と水、酒、味醂、砂糖を入れ、強火で約40分間煮る。
3、煮るときは落とし蓋を忘れないこと。火を止めたら鍋のまま冷ます。
4、煮上がった穴子の様子。煮汁は穴子の身がわずかに色づく程度に留める。

熟練の職人達の手によって捌かれた穴子は大鍋で煮上げ、煮汁の中で冷ましておく。握る際には表面を強火で軽く炙る。ぬめりがある穴子は捌くにも高度な技術を要する。一方、煮上がった穴子は驚くほどやわらかく、すぐに崩れてしまうため扱いが難しい。

余計なものは入れない、上品さがポイント! 
その三『ツメ』



1、穴子の煮汁を漉して、細かい身のくずなど余分なものをしっかりと取り除く。
2、創業より継ぎ足しで作られているツメと合わせ鍋に入れ、とろみがつくまでじっくり煮詰めていく。
3、味見して足りないようであれば、味醂や醤油で味を調える。

穴子の握りというと、粘度が高く、こってりとした甘辛い味のツメが塗られていることも少なくないが、こちらのツメはさらりとして飽きがこないと評判だ。

乃池名物、穴子の珍味にも注目!



独特の旨味が後を引く「穴子の肝煮(800円)※写真上」は隠れた人気の持ち帰りメニュー。白いご飯にのせたり、お茶漬けにも最適。店内でいただくこともできる。

握りにはできない小さなサイズの穴子を炊いた「穴子の佃煮(1,500円)※写真下」。上品な甘さの煮穴子と違い、こちらは濃い味付け。太巻きにも使用されている。

熟練職人の技、おわかりいただけただろうか? 本当に美味い穴子寿司を食することができる下町の銘店、是非一度足を運んでみてほしい。


【DATA】
●すし乃池
住所:東京都台東区谷中3-2-3
電話番号:03-3821-3922
営業時間:11:30~14:00、16:30~22:00、日・祝日11:30~20:00
定休日:水曜
公式サイト:http://www.sushi-noike.com/

●野池幸三
鮮やかな包丁捌き、テンポの良い喋り口調は年齢を感じさせない。街の名士とあって多忙で、毎日のように原付に乗って会合などに出かけていく。

出典:枻出版社 寿司界のレジェンド『すし乃池』店主が教える穴子の極意!