鮨職人のお金の話 Part.2「開業、何にいくらかかるの?」 | SUSHI TIMES

鮨職人のお金の話 Part.2「開業、何にいくらかかるの?」

鮨店開業資金の内訳


前回の記事では鮨店の開業にはおおよそ500万円〜2000万円ほどの資金がかかることに触れた。
では、開業資金の内訳を見てみよう。

 


■開業費用の分類


大きく分けて、店舗を持つためにかかる資金(=設備資金)は
①店舗取得費用、②店舗設計・施行等の費用、③その他諸費用にわけられる。


①店舗取得費用
保証金、仲介手数料、そして契約から開業までの家賃だ。また、居抜き物件の場合、据え付けられている設備を買い取る費用(造作[ぞうさく]譲渡費用)が必要となる。


②店舗設計・施行等の費用
デザイン・設計料、内装・外装工事費用、キッチン及び電気、ガス、水道、空調に関する工事費用、看板、家具類。


③その他諸費用
レジ関係備品、食器、調理器具、清掃用具、トイレ備品、BGM用音響機器、ユニフォーム、観葉植物、装飾品、事務用品、仕入れ、スタッフ採用広告費用、宣伝広告費用など。

 


①〜③の合計額(設備資金)は年間売上高の40〜50%なら適正範囲とされる。

 


■物件取得の考え方


開業に際して重要になる物件選び。立地や構造も重要なポイントだが、個人開業の場合はとにかく背伸びをせず、資金に応じた予算設計をしたい。

 


①家賃は想定売上の10%以下に。繁華街なら12%以下、住宅地なら8%以下

家賃は固定費なので慎重に物件選びをしたいもの。飲食店の場合、家賃は想定売上の10%以下が望ましいとされている。繁華街なら12%以下、そうでない場合は8%以下が目安となる。ただし、都心の繁華街であれば、15%をこえることは珍しくない。保証金は、家賃の10ヶ月以内が相場。物件によるが6ヶ月分くらいになることもあるので、できるだけ安くしてもらうよう交渉しよう。なお地方の場合は、3ヶ月分くらいの保証金で済むケースもある。物件取得費は、前家賃1ヶ月分、仲介手数料1ヶ月分、保証金6〜10ヶ月分。入居時に8ヶ月から12ヶ月分の家賃を用意する必要がある。物件取得費は、融資の申請の際は「設備資金」として扱う。なお一般に物件取得費とは大家とのテナント契約費用のことを指しており、厨房機器や内装工事代は含まれないので間違わないようにしよう。

 


②客席数は、店舗面積1坪当たり1〜2席


客席数は通常は1坪当たり1.3〜1.5席ほどで、ゆったりした高級な雰囲気の店であれば1に近くなる。一方、カウンター中心の店であれば、1坪あたり2席前後になる。仮に1坪あたり1.5席とした場合、20坪なら30席ということになるので、これにあわせてテーブル、椅子を見積もろう。

出典:開業資金と融資対策”虎の巻”


■工事費用をダウンさせる3つのポイント


一般的に、飲食店の開業費用において半分近くを占めるのが内装工事費用だと言われる。
新規開業者にとって頭の痛い内装工事費用。これをできるだけ削減する方法はないのだろうか。
以下3つのポイントを挙げる。


・新規購入する設備を減らす
飲食店の内装工事で最も費用がかかるのが厨房工事だと言われる(内装工事全体の20~30%)。
だが、もし既存の厨房設備を活用できる居抜き物件を見つけることができれば、この部分に掛かる費用を大幅に減らすことが可能だ。
他にも空調や什器など既存設備の積極的な活用が工事費用の削減につながる。

・合見積もりを取る
少なくとも3社以上から合見積もりを取り比較することが望ましい。
ケースにもよるが、競争原理を働かせることで半額以下にまで見積額を減らせる可能性がある。

・業者に減額案の提示を依頼する
機能は落とさず、コストだけを知恵と工夫で削減する「バリューエンジニアリング」という考え方がある。業者を圧迫しない範囲で、こうした考え方に基づいた減額案の提示を求めることも一策だ。優良な業者であれば、誠実な対応が期待できるはずだ。こうした様々な工夫を行うことで工事費用を削減できれば、理想的な店舗作りをより現実的なものとすることができる。

 


■事前にできるだけ準備しておきたい、「運転資金」


鮨屋を開業する場合は、開店後の運転資金をある程度用意しておくと良い。開業して最初の頃などは、思わぬ出費が必要となる場合もあるため、数ヶ月分の運転資金を用意しておくことができればさらに安心だろう。参考までに、以下はある鮨屋の毎月の運転資金の例だ。


家賃 30万円
材料費 200万円
人件費 50万円
水道、光熱費 20万円
合計 300万円

出典:well mode 寿司屋の開業資金はいくら?


■まとめ


開業に必要となる資金の内訳は以下の通りとなる。
設備資金
ー店舗取得費用 *家賃の8ヶ月分から12ヶ月分
ー店舗設計費用 *用意できる資金に応じて柔軟に設計
ー備品購入費用
ー数ヶ月分の運転資金


開業を目指す鮨職人さんは、時間がある時に用意できる資金と必要な資金のシミュレーションをしてみよう。夢がより現実的になり、日々の仕事の励みになるはずだ。

 
本記事に掲載した情報は2018年3月12日現在のものです。
開業に当たる申請等をお考えの場合は必ず該当機関への問い合わせと最新の情報確認をお願いいたします。