SUSHI TIMES

【カウンター寿司入門】注文の順番にも基本あり!寿司の粋な食べ方

鮨店での注文順に基本がある!?


注文順をわきまえている客は粋だ、とする意見は聞いたことがあるだろう。一方で好きなものを好きな順に頼めば良いという人もいる。
正解はないにしても一般的な意見を知っておけばいざという時にも恥ずかしくない。注文順にはそれなりの理由もあるようだ。
ということで、東中野「名登利寿司」女将が解説する以下の記事をご紹介しよう。


〈教えてくれる人〉佐川芳枝さん


東京・東中野「名登利寿司」女将にして作家。1975年に寿司店に嫁ぎ、その見聞を綴った著書のほか、『にっこりおすしとわさびくん』など児童書も多数手がける多才の人。

 

 


流れを愉しむのが、おとなの嗜み。寿司の醍醐味
寿司は、魚を味わうフルコース。注文の仕方には、いわゆるコースの「おまかせ」と、自分で食べたいものを選ぶ「お好み」があるが、初めてのお店なら、その個性を知る意味でも「おまかせ」が断然おすすめ。「淡白なものから始めて、だんだん濃いものをというのが通例ですが、『寿司の5色』も意識していますよ」と佐川さん。


さっぱりしたもの、濃厚なもの、醤油の旨味、塩味、甘み……絶妙に構成された「おまかせ」の流れは、優雅な音楽のよう。自分で選ぶ場合も、流れとバランスを意識して組み立て、最後の一貫まで楽しもう。


寿司ネタ・5色のバランス
味とともに重視したいのが、色み。赤、青、黄、白、黒と、彩りを意識して。味も食感のバランスも、おのずと整う。


【赤】鮪、海老、赤貝など

【青】鰺、小肌、細魚など

【黄】玉子焼き、数の子など

【白】烏賊、鯛、平目など

【黒】軍艦、海苔巻きなど

おまかせ握りの一例
下に示したのは、初秋のある日の「名登利寿司」のラインナップ。白身、光り物、赤身を取り混ぜつつ、淡白なものと濃厚なもので緩急をつけて、スパイシーな幕切れまで、まさに完璧!

1.九絵[くえ]まずは旬の白身からスタート。さっぱりと塩で。【白】

2.炙り金目鯛[あぶりきんめだい]続けて、白身を。肉厚の身を炙って香ばしく。【白】

3.小肌[こはだ]光り物の王様登場。酢でさっぱりさせてリセット【青】

4.玉子焼き ここで玉子を挟み、後半のネタに備える。【黄】

5.車海老[くるまえび]しっとりとした車海老から再開。甘みで弾みを。【赤】

6.漬け鮪[づけまぐろ]ねっとりとした赤身。食欲にエンジンがかかる。【赤】

7.白烏賊[しろいか]いったん引き、烏賊を塩味ですっきりと。ニクい!【白】

8.雲丹[うに]濃厚な味わいを軍艦で。ここからクライマックス。【黒】【黄】

9.穴子[あなご]続いて煮穴子。甘みとコクでさらに盛り上げ……。【白】

10.トロ漬け炙り 濃厚3連発の決定打!誰もがため息を漏らすはず。【赤】

11.干瓢山葵巻[かんぴょうわさびまき]ピリリと辛味で幕切れを引き締める。完璧な構成!【黒】


旬の味わい、スマートなマナー。
おとなの「嗜み」を学ぶべし 旬の味わい、スマートなマナー。おとなの「嗜み」を学ぶべし。テイクアウトや回転寿司のチェーン店の隆盛以降、寿司はぐっと身近になった。しかし、魚の旬や粋な食べ方の作法など、カウンター寿司から身につけられる嗜みは、まだまだ多い。慣れてきたら自らネタを選ぶ「お好み」にもぜひ挑戦を、と佐川さんは言う。「常連客の中には、『新子は入った?』『鳥貝が好きだから、入れておいて』と、予約の際に言う方もいますよ」そこまでできれば、もう立派な上級者。ともあれカウンターは、皆でおいしい時間を楽しむ“劇場”。そのメンバーとして、周囲にも喜ばれる、わきまえたおとなでありたい。

 
出典:おとなスタイル